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歯科医院がおすすめする歯磨き粉の選び方
こんにちは。東急東横線 祐天寺駅より徒歩3分にある歯科医院 ”祐天寺 藤本デンタルクリニック”です。
毎日の診療の中で「歯磨き粉は何を使ったら良いんでしょうか?」といったご相談を受けることがよくあります。
同じような悩みを持っておられる患者さんはもっと多いのではないか、と思い今回は「自分に合った歯磨き粉の選び方」についてご紹介したいと思います。
一番大切なポイントは「目的に応じた歯磨き粉を選ぶ」ことです。
歯磨き粉の役割をよく知った上で、自分自身のお口の中で何が気になるのか、何を良くしていきたいのかを考えることから始めていきましょう。
1、歯磨き粉の役割について
薬局や通販などで目にする機会が多い歯磨き粉ですが、その種類は多く、次々と新製品が出てくる中でそのトレンドをおさえながら選択することは至難の技です。プロである我々自身も把握しきれていない製品があるほどです。
そこでみなさんに最初に知っておいていただきたいのは、歯磨き粉の役割についてです。
どの歯磨き粉を使うかも重要ですが、まずはそもそも歯磨き粉を何のために使うのかをお伝えしたいと思います。
歯磨き粉には主に以下の成分が含まれており、それぞれには大きく分けて7種類の成分が含まれています。
基本成分 |
|
清掃剤 |
研磨剤とも呼ばれ、歯の表面のばい菌や汚れを落とす |
湿潤剤 |
適度な湿り気や粘り気を与え、使用時の乾燥・効果を防ぐ |
発泡剤 |
歯磨き粉の泡立ちをよくし、成分が口の中に広がるのを助ける |
粘度調整剤 |
成分同士が分離することを防ぐ |
香味剤 |
歯磨き粉を香り付けし、爽快な使用感を与える |
保存料 |
保存の際の劣化を防ぎ、細菌などの増殖を防ぐ |
薬用成分 |
歯に対して効果がある成分(厚生労働省による認可を受けている成分) |
そもそも歯磨き粉は歯磨きの効率を上げるために用いられるもので、歯磨き粉の使用だけで口腔内が清潔になるわけではありません。歯磨きの主な目的は「口腔内に住んでいるバイ菌を除去する」ことなのです。
その機械的な除去にプラスαで力を発揮してくれるのが歯磨き粉の役割と言えます。
そこで重要になってくるのが歯磨き粉に含まれている薬用成分です。
目的別に使い分けることで毎日の歯磨きの強い味方になってくれるはずです。
しかし、歯磨き粉への過度な期待はよくありません。
誰もが簡単に手に取れる歯磨き粉の中に強力な薬効成分を配合することには限界があります。即効性を期待して一度にたくさん使うのではなく、毎日少量ずつ継続して使用し続けることで効果を発揮すると考えてください。
2、目的別歯磨き粉の選び方
例えば、
「歯を白くしたい」 方は、ステインを落としやすくする歯磨き粉を
「虫歯を予防したい」方は、フッ素が配合されている歯磨き粉を
「しみる症状を改善したい」方は、知覚過敏予防成分の入っている歯磨き粉を
「全てまとめてケアしたい」方は、オールインワンの歯磨き粉を 選択する必要があります。
とは言え、いざ歯磨き粉を買おうと薬局へ言っても歯磨き粉コーナーにはたくさん種類があり、値段も様々でなんとなく効果がありそうなデザインの物を買ってしまう方が多いのではないかと思います。
このブログを読んでいただいている方が、歯磨き粉を購入する際にパッケージの裏側に書いてある成分表を読んで「何の成分が入っているのか」を少しでも理解していただけるように、『目的別に歯磨き粉の成分を見分ける方法』を以下にお伝えしたいと思います。
歯を白くしたい方は
成分 |
効能 |
ポリリン酸ナトリウム |
ステイン沈着の抑制 |
ピロリン酸ナトリウム |
|
ポリエチレングリコール(PEG) |
着色汚れの除去 |
ポリビニルピロリドン(PVP) |
上記のような成分が入っている歯磨剤を選ぶと着色を落とすのを手助けしてくれる効果が期待できます。
しかし名前が複雑でなかなか覚えられないので、実際に薬局で選ぶときは成分表を確認して
「ピロ」や「ポリ」(PEG・PVPと略されることもあります)が含まれていて
かつ 長めの名前が入って入ればOKと覚えてください。
市販のホワイトニング用の歯磨き粉は研磨剤が含まれすぎている製品もあるため注意して選ぶようにしてください。
当院オススメの歯磨き粉は DENT「ブリリアントモア」です。
この歯磨剤の良い点は研磨剤が含まれておらず、着色汚れを浮かせて除去することができる点でおすすめしています。赤ワインやコーヒー・紅茶好きの方はぜひ使ってみてください。実際に私も愛用しています。
歯磨き粉だけではもともと持っている歯の色まで変えることはできません。歯の黄ばみ取りたい方は歯科医院で行っている「ホワイトニング」も検討して頂くことをオススメします。
虫歯を予防したい方は
成分 |
効能 |
フッ化ナトリウム |
フッ化物イオンによる歯の再石灰化を促す |
モノフルオロリン酸ナトリウム |
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フッ化第一スズ |
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CPP-ACP |
歯の脱灰を抑制する |
ハイドロキシアパタイト |
歯の再石灰化を促進する |
リン酸化オリゴ糖カルシウム |
カルシウムイオンを吸収し歯質強化を促す |
リン酸三カルシウム |
|
デキストラナーゼ |
歯垢(プラーク)形成を抑制する |
などの成分が入っているものを選んで歯質の強化を目指していきましょう。
フッ素と名のつくものが入っていればOKと覚えてください。
またフッ素の含有量が高いほど効果的です。日本の薬事では1450ppm(大人用)が最高濃度になります。(子供用は950ppmが最高濃度です)
当院オススメの歯磨き粉は DENT「チェックアップ」です。
この歯磨剤はフッ素含有量が高い(1450ppm)ことに加えてフッ化物配合の歯磨剤としては非常にリーズナブルな点で気兼ねなく使える点がおすすめできるポイントです。
しみる症状を改善したい方は
成分 |
効能 |
硝酸カリウム |
刺激の伝達を遮断し、歯がしみるのを防ぐのを助ける |
乳酸アルミニウム |
|
リン酸三カルシウム |
|
ハイドロキシアパタイト |
などの成分が入っているものを選ぶことによって刺激をブロックするのを手助けする効果が期待できます。
「○酸カ○○ム」と言った名前の成分が入っていればOKと覚えてください。
当院オススメの歯磨き粉は DENT「チェックアップ ルートケア」です。
この歯磨剤は通常の高フッ素含有のチェックアップにプラスして知覚過敏予防の乳酸アルミニウムが含まれています。ジェルタイプなので研磨剤も含まれておらず、しみる歯の付け根にも安心して使えます。
歯周病をケアしたい方は
成分 |
効能 |
塩化ベンゼトニウム(BTC) |
殺菌作用 |
塩化セチルピリジニウム(CPC) |
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イソプロピルメチルフェノール(IPMP) |
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トリクロサン(TC) |
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ラウロイルサルコシンナトリウム |
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グルコン酸クロルヘキシジン |
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塩酸クロルヘキシジン |
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グリチルリシン酸 |
抗炎症作用 |
塩化リゾチーム |
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酢酸トコフェノール(Vitamin E) |
血管促進、上皮バリア、修復組織 |
イプシロンアミノカプロン酸(ε-ACA) |
出血抑制、炎症誘発抑制 |
トラネキサム酸(TXA) |
出血抑制 |
塩化ナトリウム |
歯肉収れん、血行促進 |
上記のような成分が入っていれば、歯周病予防に効果的と考えられますが私自身も成分の数が多くて覚えられまません。
大まかにお伝えするとしたら、
カタカナが多めの名前の真ん中に「ル」または「ロ」が入っている
または 酢酸トコフェノールやトラネキサム酸と言った成分が入っているとOKと覚えてください。
酢酸トコフェノールやトラネキサム酸と言った名前は特徴的な名前ですので、口に出すと覚えることができそうですよね。
当院オススメの歯磨き粉は LION「SP-T ジェル」です。
こちらも研磨剤不使用で歯と歯茎の間に安心して使えます。また歯周病の原因となる口腔内への細菌に対して効果があると言われている薬用成分を多く含んでいる点でおすすめです。
全てまとめてケアしたい方は
今までにお伝えした成分が幅広く入っている歯磨き粉を選んでいただけると良いと思います。
当院オススメの歯磨き粉は 3M「クリンプロ F1450」です。
この歯磨剤はフッ素含有量が高いことに加えて他の歯磨剤には含まれていないリンやカルシウムといったミネラル成分も多く含まれています。また歯周病予防成分も含まれているため、歯質強化しながら予防もできるトータルケアに最適に一本といえます。
各成分の組成まで書かれていない歯磨き粉や気になるけど使い方がよくわからない場合は、是非歯科医院で相談してみてください。
まとめ
今回ご紹介した内容がもちろん情報の全てではありませんが、皆様の歯磨き粉選びのお役に立てると幸いです。
何かご不明な点がありましたらお電話でも、当院のホームページからでも結構です。お気軽にお問い合わせください。